はい、ごめんください。Microsoft Clarity(クラリティ)大好きコスギです。
この記事は Microsoft 社の公式記事「Understand Your Influence in AI Answers: Citations Now Generally Available」を和訳しつつ、私の考えなども入れたものです(和訳公開の許可を得ています)。
以下に、要点を3行で。
- Microsoft Clarity の「Citations(引用)」機能が正式リリース。AIが回答を生成する際に自社ページが情報源として参照された回数や、競合との相対比較がダッシュボードで確認できるようになった
- 「ページ引用数」「権威のシェア」「AI経由の流入」「クエリ」「引用されたページ」「トレンドライン」の6指標を一元管理できる
- 全Clarityプロジェクトで今すぐ利用可能。近日中に、引用クエリをテーマ別に自動分類する機能も追加予定
AIが自社コンテンツをオススメしてくれるかどうか、さすがに無視できなくなってきましたね。ウチも「ChatGPT からオススメされたので購入しました」と言われるケースがポツポツ出てきましたし、「他はこういうことやってないしな」とぼんやり思っていたニーズが、AIによって可視化されてきた印象もあります。
今回は Microsoft Clarity がひと足早く、「AIによるオススメ状況」を確認できるようになったお話です。公式記事は以下。

AI回答におけるあなたの影響力を把握する:引用(Citations)機能が正式リリース
AIが回答を生成するとき、複数のウェブページが情報源として参照されます。「検索で上位に表示されること」と「AIの回答に使われること」は別の話であり、多くのサイト運営者はその違いをまだ把握できていません。
Microsoft Clarity の引用(Citations:サイテーション)機能は、自分のページがAIの回答にいつ・どのように使われているかを可視化します。AIが回答を生成する前に関連コンテンツを検索・取得するプロセスをグラウンディング(grounding)と呼びますが、引用機能はそのプロセスの中で自分のコンテンツがどう扱われているかを教えてくれます。
たとえば「敏感肌向けの、毎日のスキンケア方法は?」という質問にAIが答えるとき、検索1位のページでも引用されなければその回答の中では見えない存在です。引用機能は、そうした状況を把握し、改善の手がかりを見つけるためのものです。
プレビュー版のフィードバックをもとに、シグナル(signal:AIが自分のページを参照した痕跡)の計測・集計・表示方法を改善しました。クエリ(query:検索語句)・ページ・露出傾向ごとに引用パターンをより読み取りやすくなるよう、レポート画面と指標も更新されています。今回の正式リリースで、これらの改善が反映されました。
コスギ注
「AIを介したウェブサイトにおける主要な5つのKPI(和訳+α)」の「4. AIによる引用(AI Citations)」で紹介していた「AIによる引用機能」が、正式リリースされました。使える方は確認してみましょう。7日間で少なければ、30日間にすると、見えてくるものがあるかもしれません。
「AIにオススメされるホームページにしないといけないんですよね?」と、私のクライアントさんからも相談されるくらい、不安?期待?だけがひとり歩きしていたようですが、ここに来て「まずは現状を把握しましょう」と伝えられるようになったといえます。
そもそも、アクセスが少ないサイトがAIにオススメされる可能性は低いので、その場合、公開しているコンテンツを増やしたり整理したりが必要になることも想定されます。
引用ダッシュボードで何を測定できるのか
引用(Citation)ダッシュボードでは、AIが生成する回答におけるコンテンツの参照状況を、以下の6つの指標で確認できます。
- 2026年5月現在、項目名はすべて英語です。コスギ注に詳細を記載しています。

- Citations(ページ引用数)
選択した期間中に、自分のドメインのページがAIによる回答によって参照された合計回数です。1つの回答の中で複数回引用された場合も、それぞれカウントされます。 - Share of authority (SoA)(AIに選ばれる割合)
自分のドメインが引用された同じクエリ群の中で、全引用数のうち自ドメインの引用が何%を占めているかを示します。競合サイトと比較したときの、相対的な存在感を把握するための指標です。 - AI referral traffic(AI経由の流入)
AIを経由してサイトを訪問したセッションが、全セッションに占める割合です。AI経由のセッション数 ÷ 全セッション数で算出されます。 - Grounding queries(グラウンディングクエリ)
AIが回答を生成する前に、関連コンテンツを検索・取得する際に使われた検索語句のことです。「どんな質問に対して自分のコンテンツが参照されているか」がわかるため、AIがユーザーの意図をどう解釈しているかを把握するヒントになります。 - My cited pages(引用されたページ)
自ドメインのどのURLがAI生成の回答に引用されたかを、引用数とグラウンディングクエリとあわせ、ページ単位で表示しています。AIシステムに信頼できる情報源として選ばれやすいコンテンツを把握するのに役立ちます。 - Trendlines(トレンドライン:傾向線)
引用されたページ数とクエリ数の推移をグラフで確認できます。コンテンツの変化やAIの検索パターンの移り変わりにともなって、引用の動向がどう変化しているかを時系列で分析するのに役立ちます。
今回の正式リリースに合わせて、レポートモデル・クエリ表示・フィルタリング・ページネーションの改善も行われており、大規模なデータセットでもパフォーマンスが向上しています。
コスギ注
だいぶ新しい概念なので、和訳に苦労しましたが……上記を補足します。
Citations(ページ引用数)
AIから情報源として参照された回数の合計です。たとえばウチのサイトなら「 Microsoft Clarity 研究所では、Clarityのリスクをこのように説明しています」と引用されるケースがこれにあたります。引用数が多いほど、AIに情報源として活用されている頻度が高いといえます。
Share of authority (SoA)(AIに選ばれる割合)
和訳に悩みましたが……「権威性」とか「信頼性」とかより、「競合との引用割合」としたほうがわかりやすいかな。
同じクエリに引用されたすべてのドメインの中で、自分のドメインが何%を占めているかを示します。ウチは平均約2割。これが高いのかどうかは業界標準となる目安はまだないですし、(弊社のように)サブドメインでコンテンツが分散していることもあるため、現状ではクエリで見たほうが良いかもしれません。
たとえば、52.94%と高い「〜とは」というクエリがある一方、9.38%にとどまっているクエリもあります。このあたり、SEOの結果も見比べながら判断したいですね。
AI referral traffic(AI経由の流入)
全セッションのうち、AI経由で訪問した割合です。ウチは現在1%未満で、引用はされていてもAIの回答からサイトへ直接来訪するケースはまだまだ少ない状況です。AI Overview 問題とか言われてましたっけ?
事実、「〜とは」のクエリは検索結果で回答が出力されて解決するので、訪問までは至らないんですよね。引用数とあわせて見ることで、「引用されているが流入につながっていない」といった課題も見えてきます。
Grounding queries(グラウンディングクエリ)
「グラウンディングクエリ」は(意訳すると)要するに、「AIが使った検索ワードのこと」です。
ウチの場合、「ストレングスファインダー34資質一覧」「クリフトンストレングス 日本人」など、ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)関連で複数回引用されており、AIがこの分野の情報源としてウチのサイトを認識していることがわかります。どんなテーマで引用されやすいかを把握する手がかりになります。
My cited pages(引用されたページ)
引用されたURLを、引用数とグラウンディングクエリとあわせ、ページ単位で確認できます。どのページがAIに選ばれやすいかを把握し、強化すべきコンテンツの優先順位をつけるのに役立ちます。
これがまた、実際のアクセス数とは異なるのが興味深いというかなんというか。
Trendlines(トレンドライン:傾向線)
トレンドラインというメニューはありませんが、一部のウィジェットは傾向を確認することができます。

コンテンツの変化やAIの検索パターンの移り変わりに伴って、引用の動向がどう変化しているかを時系列で分析するのに役立つんですが……設定する日程によって情報が合計されるため、細かく見たい場合は7日間ごととかにするのをオススメします。
はじめ方
引用機能は、すべての Microsoft Clarity プロジェクトで利用可能になっています。
- Clarity プロジェクトを作成する
- サイトにトラッキングコードを設置する
- ダッシュボードで引用機能が有効になり表示される
場合によっては、ドメインの所有権確認が必要になります。Bing Webmaster Tools または Google サーチコンソールとの連携で確認できます。
- 複数ドメインを持つプロジェクトでは、初期設定時に選択できるドメインは1つのみです。設定後にドメインを変更する機能は、現時点では提供されていません。
ダッシュボードへのアクセスは、ダッシュボード → AI の可視性 → Citation から。

コスギ注
冒頭でもアナウンスしていますが、設定はルートドメイン単位になるため、サブドメインごとに絞り込むことはできません。たとえば複数のサブドメインで異なるテーマのコンテンツを運営している場合、それらをすべて合算したデータになります。
ウチのように、明らかに違う内容(Microsoft Clarity とストレングスファインダー)で展開しているならまだわかりやすいですが、似たものだと混乱しやすいかもしれませんね。
なお、ドメインごとの判断はあくまで Microsoft Clarity の仕様であって、AIがドメインごとに判断している、というわけではありません(明言されていません)。
ちなみに、Citation は一度設定すると解除の方法が見当たらない(2026年5月現在)ので、ドメインを変えるようなときは別プロジェクトのほうが良いですね。
今後の展望
Microsoft Clarity は、この引用(Citations)機能にさらなる知見を加えることを計画しています。近日中に追加予定の機能として、トピックインサイト(topic insights)があります。
トピックインサイトは、引用されたクエリ(query:検索語句)を意図別のテーマに自動分類するものです。「どのコンテンツが使われているか」だけでなく、「なぜAIがそのコンテンツを選んでいるのか」「どんな文脈で使われているのか」まで把握できるようになります。
この機能強化により、以下が期待できます。
- 自社コンテンツが他の情報源と比べてAIの回答にどれだけ貢献しているかの把握
- カバーできていないテーマ(コンテンツのギャップ)の発見
- 特定テーマでの存在感を高めるための具体的な改善の手がかり
- AIの回答への引用をさらに増やすためのコンテンツ戦略への示唆
近日公開予定、乞うご期待!
コスギ注
すでにサーチコンソールではブランドワードの分類が始まっていますが、「トピックインサイト」も似たようなものかなと思います。トピックインサイトとして「意図に基づくテーマ別分類」をするのは、実質的に「なぜ自分のコンテンツがAIに選ばれているか(あるいは選ばれていないか)」を教えてくれるということですから。
人力で「このワード群だとこういうトピックかな〜」と判断しているのを、AIがやってくれるイメージですかね。
SoA(AIに選ばれる割合)と合わせて競合分析することで、ブラックボックスな「AIによる回答」に光を照らせるようになるのかな、とも思います。それが幸せなことなのかは、わかりませんが。
余談:引用されただけで喜んでいる場合ではない
AIによる引用状況がわかることは、今まで見えなかった部分を照らす、一筋の光だと思います。アクセス解析ツールの黎明期のような印象。そのときはまだ Geocities をイジっていた人間ですが。そのうち Google もサーチコンソールで把握できるようになるのかな。
今回の話は、あくまで「引用されたページ」であって「アクセスされたページ」ではないので、見方によってはノウハウだけ盗まれているんじゃないかと感じるかもしれません。自分なりに丁寧にアウトプットした内容を、AIに雑に扱われて消費されることを嫌がる気持ちも、わかります。
とはいえ、AIによる引用という流れには抗えないので、キッカケを最大化するにはどうしたら良いかを考える方が生産的なんですよね。
たとえば単純に判断できないことにも言及し「おっと、ちゃんと確認しておかないとアカンかな、このサイトは信頼できそう」と、専門性を出せる機会にするとか。ここは、情報から人への興味が転換するポイントなのではないでしょうか。
“情報に価値はない” ので、キッカケの可能性をどう捉えるか、提供している情報をどのように扱ってもらうかは、戦略的に対応できます。
引用されたことだけで安心していると、気づいたときにはサイトの成果が落ち込んでいるかもしれません。今一度、ウェブサイトの目的や目標を改めて考え直す、よい機会になるのではないでしょうか。
引用機能を活用するには?
シンプルに、ダッシュボードのCSVデータをダウンロードして、AIに分析してもらうのがオススメです。ウチの場合はこんな感じです。
添付はAIにおける引用機能で得られたデータです。kosgis.comドメイン全体が対象になっていますが、このデータに基づいて問題発見・改善提案をしてください。回答する前に、自分の回答の不確実性を評価してください。不確実性が 0.1 を超える場合は、0.1 以下になるまで私に確認質問を行ってください。
そうすると、「どんな課題を解決したい?」と聞いてきて、SoA×引用数などの切り口で分析してくれます。そうすると、こんなことを返してくれます。

追記:母数の存在を忘れてはならない

渋谷さんから言及していただいた、ニュースレターの伊藤さんの文章を引用します。
同調査が示したもうひとつの発見は、「何%の確率で推薦リストに登場するか」というAIビジビリティスコア(Visibility %) には、一定の統計的意味があるということです。たとえば、西海岸のがん治療病院を尋ねられたChatGPTの回答では、シティ・オブ・ホープ(Los Angeles)は71件中69件の回答に登場しました(AIビジビリティ97%)。順位はバラバラでも、「そのカテゴリの候補として認識されているかどうか」は測れるわけです。
つまり、SoA と AIビジビリティスコアは違うという以上に、AIビジビリティスコアはSoAの上位概念というか、母数になりえる値なんですよね。
つまり、SoAが50%でも、そもそも100回に1回しか出現しないのと、100回に90回は出現しているのとでは、まったく意味が違います。SoAだけ見ていると「競合の中でそこそこ存在感がある」と思えても、母数であるAIビジビリティスコアが低ければ、実態としては無視されているのと変わりません。しかも、現状ではAIビジビリティスコアを確認することはできません。
ちょっとしょんぼりしたところですが、せっかくなので、もう少し引用します。
今回の調査で面白い事実として指摘されているのは、各製品カテゴリでAIが推薦するブランドがかなり限定的だということです。ヘッドフォンならBoseやSony、SaaS向けクラウドなら数社、といった具合に。順位はランダムでも、「そのカテゴリで候補として挙がるブランドのグループ」自体は比較的安定しています。
こうした構造を踏まえると、AIマーケティングの現実的なKPIとして、「特定のカテゴリにおいて、AIのアンサーの参照候補グループに自社・自社製品が含まれているか」 というのは考えられそうです。
その「候補セット」への入り込みを指標とする。これがいま考えうる合理的なKPIの置き方と言えるかもしれません。
ただし、そこには重要な留保がつきます。
これはあくまでも結果指標です。どのマーケティング施策がその可視性向上に貢献したかを直接紐づけることはできません。SEOの検索順位がそうであったように、アトリビューションの問題は残り続けます。
「特定のカテゴリ」が何かわかるのが、今 Microsoft Clarity が開発中の「トピックインサイト」だとしたら、アツいですね。
そもそも「引用されたところでアクセスにつながっているわけでもなければ、売上につながっているとは限らない」ので、過剰な期待や解釈をすることなく、優先順位を見極めてやっていきましょう。