Microsoft Clarity の Cookie から保持するデータを考えてみた

  • URLをコピーしました!

はい、ごめんください。クラリティ大好きコスギです。

アクセス解析界隈でも Cookie に関して賑やかになりつつあるのですが、そもそも Microsoft Clarity はどういう Cookie を取得しているのか、どんな情報を送っているのか、セッションはどれくらい保持しているのか、などを調べてみた備忘録です。「Cookie(クッキー)」がどのようなものかはわかるくらいのニッチな中級者向け。

考察はいらんという方は、公式サイトを見てください。

あわせて読みたい
Clarity Cookie Consent How to manage cookie consent
あわせて読みたい
Clarity cookie list List of Clarity's cookies
目次

Microsoft Clarity が扱う Cookie

名前目的
_clckサイト固有の Clarity ユーザー ID と設定を保持しておくもの。
5種類のデータが入っているらしく、有効期限は1年間のようです。
_clskユーザーの複数のページビューを1つの Clarity セッションとして記録するもの。
こちらも5種類のデータが入っており、有効期限は24時間のようです。
CLIDClarity を使用しているサイトで、Clarity がこのユーザーが初見かどうかを識別するもの。
32桁のIDと、日付が2つ入っていました。有効期限は1年くらい。
ANONCHKMUID が広告に使用されるクッキーである ANID に転送されるかどうかを示すもの。Clarity は ANID を使用しないため、これは常に0に設定されます。
今のところ確認できてませんが……
MRMUID をリフレッシュするかどうかを示すもの。
値は0、ドメインは .bat.bing.com 、有効期限は1日かな。
MUIDマイクロソフトのサイトを訪問する固有のウェブブラウザを識別するもの。これらのクッキーは、広告、サイト分析、およびその他の運用目的で使用されます。
32桁のIDっぽいですね。有効期限は1年と24日……?
SMマイクロソフトのドメイン間で MUID を同期する際に使用されるもの。
これも未確認です。
Clarity cookie list の表を意訳したもの

他にも、Chrome の拡張機能で確認する限りでは、ANON と NAP を確認できたサイトもありました。clarity.ms がドメインなので、サードパーティー Cookie でしょうか。

clarity.ms がドメインのCookie

これらは Microsoft Clarity だけでなく、MS関連の Cookie のようなので、Microsoft のプライバシーに関する声明で確認できます。

名前目的
ANONANID (ユーザーの Microsoft アカウントに由来する固有の識別子で、ユーザーがどの広告を選好するのか確認する、または運営上の目的で用いられる) を含みます。 また、ユーザーが Microsoft アカウントと Microsoft からの興味に基づく広告の表示のオプトアウトを関連付けることを選択した場合、その広告の表示をオプトアウトするというユーザーの選択を保存するためにも使用します。
NAPユーザーの Microsoft アカウントのプロファイルに基づいてわかる範囲で、ユーザーの国、郵便番号、年齢、性別、言語、職業の暗号化された情報を格納します。
Microsoft のプライバシーに関する声明 より

MUIDANONNAP は、異なるドメイン(bing.com)でも同じ値を確認できています。有効期限はバラバラですが、1ヶ月以上先ですね。

つまり、_clck_clsk はファーストパーティ Cookie、それ以外はサードパーティー Cookie と判断できます。Google はサードパーティー Cookie を段階的に廃止する予定というアナウンスしている(そして延期している)ようですが、Microsoft はどうなるか、今後まったりと追っていきます。サードパーティー Cookie の廃止でどんなことが想定されるのかは、Web担当者フォーラムの以下の記事がわかりやすいかも。

Web担当者Forum
サードパーティCookie廃止後の世界で「できること」「できないこと」を正しく理解していますか? | データ... インティメート・マージャー簗島亮次氏が、サードパーティCookieが使えなくなることの影響について解説します。

Microsoft Clarity におけるセッション保持の考え方

まず、用語が似ていてわかりにくい「セッション Cookie」は、有効期限を設定せずにブラウザが閉じられたら一緒に消滅する Cookie です。ですが、最近のブラウザは見ていた画面を復元する機能がついているので、一緒にセッション Cookie も復元されるんですってね。

ですが、Microsoft Clarity で使用している Cookie はどれも有効期限を確認できたので、「持続的 Cookie」といえます。

同一ユーザーかどうかを判断している _clck の有効期限は1年間。つまり、意図的に削除しなければ最短でも1年間は、再訪問しても同じユーザーだと判断されるわけですね。Microsoft Clarity 側では、ユーザー ID に絞り込んで追うことができます。ただ、録画データの保持期間は30日間であることは覚えておきたいところ。

そして、同じセッション(訪問)だと判断している _clsk の有効期限は24時間。つまり、何度サイトを離れても、24時間以内に(同じブラウザから)戻ってくれば一連の録画データとして確認できると考えられます。

このセッションの考え方は、Google アナリティクス(GA4)とは異なるかもしれません。UA時代は「セッションは30分」が一般的だったんですが、Microsoft Clarity の場合はそれより長いんですよね。一連のユーザーの行動にどこまで連続性を考えるのかツールによってスタンスが違うため、その特徴は押さえておきましょう。Microsoft Clarity に関しては「ユーザー行動分析ツール」と銘打っていますし。

あとはソースを見てみないとわからない部分ではあるのですが、「同一ユーザーがスマホで調べた後にパソコンでじっくり読む」みたいな行動は少なからずあるので、ここを Microsoft さんはどう考えているのか気になるところです。サードパーティー Cookie で、MSログインが有効なユーザーは追えるのかな。Chrome は Cookie を別デバイスで引き継ぎそうなものですが、このあたりは実際どうなんだろうとか。

大したオチはないですが、ユーザーは1年、セッションは1日って覚えておけば、ニーズに応えられそうでしょうか。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

この記事を書いた人

はい、ごめんください(/・ω・)/
WordPressをメインとした制作、開発、ウェブコンサルと、ストレングスファインダーを活用したコーチングを行っています。このブログでは、ユーザーの行動分析をモリモリできる Microsoft Clarity(クラリティ)を研究した備忘録としています。解析のお仕事は中小企業向けにご提供しています。

目次